ウール(スーツの基本素材)

羊は世界初の農耕集落(約7000年前)アナウ遺跡からも羊の骨は発掘されており、人との繋がりもかなり深く、ウール (wool/羊毛) とは羊の毛のことでウールは動物繊維の一種で毛糸を用いた糸です。
ウールが一番スーツに使用される利点として、綿や麻と違いしわになりにくく、多くの空気を含むため断熱性が高く通気性がありながら防寒性と保温性が高く肌触りが柔らかく、油分を含み、撥水性があって、濡れても保温性があるため野外での着用に一番適しています。
また他の繊維よりは燃えにくいので、このメリットを活かし、野外での着用も多いスーツに一番使用される理由です。
羊(ウール)の写真

糸の種類

使用する糸の製法の違いで梳毛(そもう)と紡毛(ぼうもう)とに大きく分類されます。
梳毛糸は比較的長い毛を選別し梳いて作成し、生地は薄く艶がありスーツなどに用いられます。
紡毛糸は短い毛も利用し紡いで作成し、生地は毛羽立ちツイードやコートなどに用いられる。

生地の織り方の種類

平織(ひらおり)【三原組織の一つ】 下記写真左側
平織は経糸(たていと))と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織る、最も単純な織物組織です。
できあがった模様は左右対称になり、丈夫で摩擦に強く夏物のスーツによく使用される素材です。
代用的なウールの平織の織り方
・ウールシャンタン・サキソニートロピカル・フレスコ ・ブロード(ポプリン)
・ポーラ – 夏用の織物・マットウース・メルトン・モスリンなど

生地の織り方 平織 綾織 

綾織(あやおり 英 twill:ツイル)または斜文織(しゃもんおり)【三原組織の一つ】 上記写真右側
綾織はタテ糸が2本もしく3本のヨコ糸の上を通過した後、1本のヨコ糸の下を通過することを繰り返して織られます。
糸の交差する組織点が、斜紋線(しゃもんせん)または綾目(あやめ)と呼ばれる線を斜めに表し、出来あがった模様は左右非対称になります。
織組織の関係上、生地の表面はタテ糸の割合が多いので表面にツヤが出やすく平織に比べると摩擦に弱く強度に欠けるますが、地合は密で柔らかく伸縮性に優れシワがよりにくい等の利点があります。
代用的なウールの綾織の織り方
・ギャバジン ・サージ(クリア加工という表面の毛羽をなくす仕上げを施した綾織りの洋服生地)
・シャークスキン ・カルゼ・サキソニー・フラノ・メルトン (Pコート)
ツイード杉綾織りにしたものを特に(ヘリンボーン)と呼びジャケットに多く利用されます。

繻子(朱子)織(しゅすおり)【三原組織の一つ】
繻子(朱子)織は、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)五本以上から構成され、経糸・緯糸どちらかの糸の浮きが非常に少なく
経糸または緯糸のみが表に表れているように見える。密度が高く地は厚いが、綾織よりも柔軟性に長け光沢が強いが摩擦や引っかかりには弱い。
主にタキシードの生地に多く使用されます。
代用的なウールの綾織の織り方   下記写真
ドスキン
生地の織り方 ドスキン柄

シルク絹(スーツのサブ素材)

絹(きぬ)シルクは、蚕の繭からとった動物繊維で、独特の光沢を持ち1個の繭から約800-1,200メートルとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント糸)です。
絹(シルク)の大きな特徴は、軽くて丈夫で、独特の強い光沢があり滑らかな柔らかい肌触りがあります。ただ水や汗や日光に弱く、虫に食われやすい特徴を持つので、ウール素材にプラスしたスーツ生地やジャケットなど特徴的な生地を更に引き立たせる為エッセンスを加えるサブ素材となります。
シルクイメージ写真